落ちこぼれ会計人の Music Diary
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レスピーギ 交響詩 「ローマの松」
昨晩、とあるTV局で「ローマ1000年史」という番組をやっていました。  番組の内容はかなり稚拙だった(・・・と思う)んだけど、現在塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読み進めている真っ最中の KiKi にとって、ローマって言う単語自体がなかなかキャッチーなので、4時間弱の番組をブチブチと文句を言いつつも観ていました。  で、そしたら番組の途中(ハンニバルがアルプス越えをするあたり)で、何だかよくわからないけれど急に頭の中で、「カタコンブ付近の松」の音楽がガンガン鳴り響き始めちゃったんですよね~。  で、そうなるとやっぱりちゃんと音楽鑑賞せずにはいられなくなってしまう KiKi。  ま、てなわけで今日の KiKi の1曲はこちらです。

レスピーギ  交響詩 「ローマの松」
DG POCG-9269 演奏:小沢征爾指揮 & ボストン交響楽団 録音:1977年10月

Respighi_3Roma.jpg


えっとですね、よくあることではあるけれど、KiKi が持っているCDのデザインは↑とは異なるけれど、内容を見る限りでは現在発売されている同じ内容のCDがこちらのようなので、この画像を使わせていただきました。


この曲は本当に美しいと思うんですよね~。  詩的ってこういう音楽のことを言うんじゃないかと思っちゃうぐらい・・・・。  曲の中にものすご~く荘厳なグレゴリオ聖歌みたいな節回しが出てきたかと思うと、鳥の鳴き声(楽器で演奏するのではなくて、実際の鳥の声を録音してあってそれを流す)が出てきたり・・・・。  とにかく頭の中に様々な風景がそれこそ走馬灯のようにめぐっちゃう音楽だと思うんですよ。  

この曲の初演時のプログラムに作曲者は「ローマの松は古代ローマの追憶や幻想をよびさます出発点であり、主要な事件の証人であり、何世紀にもわたってローマの風景を交配してきた特徴的な樹木である。」と書いていたらしいんだけど、そんな世紀の生き証人の感じてきたローマ世界が目の前に次々と表れるんです。

第1部:ボルゲーゼ荘の松

ボルゲーゼっていうと何だかよくわからないけれど、実はこれ、ボルジア荘の松っていうことなんだって知ったのは割と最近なんですよね。  おお!  ボルジア家と言えば塩野七生さんのデビュー作「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」のあのボルジアではありませんか!!  カンタレラ(毒)を盛る男のあのボルジアではありませんか!!  マキアベリズムの体現者のあのボルジアではありませんか!!  ドニゼッティのオペラ「ルクレツィア・ボルジア」のあのボルジアではありませんか!!  それから・・・・それから・・・・・。  いやね、実は KiKi が歴史上の男の中で魅力を感じている男のトップ3にランクされているのが、このボルジア家の「チェーザレ・ボルジア」なので、ついつい正気を失いつつあって・・・・失礼しました。 

ま、それはさておき、実はこの曲は別にチェーザレのお父さんの法王アレッサンドロ6世の治世を描いたわけでも、ルネサンス期のイタリアで初めてイタリア統一の野望を抱いたその息子のチェーザレの快進撃を描いたわけでも、ついでにその一家の近親相姦の物語を描いたわけでもなく、でもそんな栄華を築き上げたボルジア家の遺跡である庭園で遊んでいる子供たちの情景を描いているんですよね。  

作曲者直筆のパンフレットの説明によれば

松の木立の間で遊んでいる子供たち。  輪になって踊ったり、行進したり戦争したりの兵隊ごっこをしている。  黄昏のつばめのように自分たちの声に興奮し、群をなして行ったり来たりする。  突然、情景は変わる。


となるんだけど、でもその子供たちが遊んでいるのがボルジア家の庭園であるところにふっか~い意味があるように KiKi には感じられます。  (チェーザレ・ボルジアについて知りたければ、是非上記でご紹介した塩野七生さんの作品「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」↓をお読みください。)



で、突然変わった情景っていうのがあたかもタイム・スリップしたかのごとく、今度はカタコンベなんですよね~。

第2部:カタコンブ付近の松

上でもちょっとだけ書いたように、ボルジア家からは法王さんを輩出しているわけです。  法王さんといえばキリスト教世界の頂点にいらっしゃる方なわけです。  そこの庭から場面転換したのがいきなりカタコンベなわけですよ。  カタコンベといえば初期キリスト経の迫害の歴史なわけです。  で、そのカタコンベ付近の松が聴いているのが古いグレゴリオ聖歌なんですよね~。  これってどうよ???  

作曲者直筆のパンフレットの説明によれば

カタコンブの入り口に立つ松の木かげ。  洞窟の奥から悲しみに満ちた聖歌が聞こえる。  やがて荘厳な讃歌のように大気にひびき、次第に神秘的に消えてゆく。


となります。 

第3部:ジャニコロの松

で神秘的に消えていった先(タイムトリップ先)が今度はジャニコロ(ヴァティカンの南の丘陵で、ローマ市街の眺望がすばらしいところ)の丘です。  ちなみに KiKi の記憶が正しければ(何せ物の本で読んだことがあるだけで、ここには行った事がないので記憶が曖昧なんです・・・・^^;)ここにはイタリア統一で活躍したガビバルディの騎馬像があったはずです。  ついでにローマ市街の眺望がすばらしいだけではなく、ここからはバチカンの大聖堂も見えたはず・・・・です。  いやはや世界はかくのごとく変わっていくわけですよ。

作曲者直筆のパンフレットの説明によれば

そよ風が大気をふるわせ、満月の下にジャニコロの松がくっきりと立っている。  夜鶯(ナイチンゲール)が鳴く。

 
となり、ピアノの短いソロ、クラリネットの鳥の歌、チェロが黄昏を歌い上げ感傷的な気分が盛り上がったところで、本物のナイチンゲールの鳴き声の録音が流れます。

第4部:アッピア街道の松

で、終曲。  アッピア街道と言えば「すべての道はローマに通ずる。」のハシリとも言うべき街道です。  さらには現存するローマ街道の中で最も往時の姿を残している街道とも言われています。  そんなデロリアン(Back to the Future 参照)が疾走するのにぴったりとも言えるタイムマシン専用道路軍用道路は古代ローマ軍が行軍したローマ自慢のインフラストラクチャー。  そこをローマ軍が堂々と行進するわけです。  

作曲者直筆のパンフレットの説明によれば

霧深い夜明け。  幻想的な風景を見守り、離れて立つ松。  はてしなく続く足音。  詩人は過去の栄光の幻を夢見る。  ラッパが響き、暁の太陽が輝き、執政官の軍隊が聖なる街道を進み、勝ち誇ってカピトーレの丘(カンピドリオ)に登ってゆく。

 
となるわけです。  ちなみにカピトーレの丘とは古代ローマ建国時の7つの丘の中でもっとも高い丘で最高神ユピテルをはじめとするローマの古代宗教の神様たちがお住まいになっていたと考えられていた丘で、神殿などが立ち並んでいた丘です。  現在ではローマ市庁舎か何かがあったはずです。  でも、ここは古代ローマ軍が戦勝報告にローマの神様の神殿に向かっているわけですよね~。    

と、この曲を一曲丸々聴き返してみると思わず琵琶か何かを片手に朗じたくなってしまうのですよ。







祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
   
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
   
驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し。
    
猛き人もついに滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。 







いや~、ローマも凄いがわが祖国日本も捨てたもんじゃないねぇ・・・・・。

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