落ちこぼれ会計人の Music Diary
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ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番 Op. 69
未だに風邪が快方に向かわず、1日の中で咳きこんでいる時間ばかりが長い毎日です。  どうして、こうもしつこいんざんしょ!!  おまけに昨日は我が家の愛犬モモちゃんまでもが体調を崩し、KiKi がゲホゲホやっている横で嘔吐などを始めてくれちゃいました ^^;  モモちゃ~ん、お願いだから今病気にならないでよぉ。  KiKi は今は自分のことで手一杯なんだからぁ~。  さて、咳きこむ時間が長いということは当然のことながら楽器にじっくりと向かっていられやしないということであり、ましてある程度手の内に入っているピアノならいざ知らず、ヨチヨチ歩きにさえ至っていないチェロともなれば放置状態になってしまうのは、これ、自然の摂理というものです。(← な~んていう言い訳をしてみる ^^;)  てなわけで、とってもチェロの音色に飢えてしまった KiKi が選んだ今日の1曲はこちらです。

ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番 Op. 69
PHILIPS PHCP-24015/16 演奏:ロストロポーヴィチ(vc) & リヒテル(p) 録音:1961年7月

Beethoven_CelloSonata.jpg



リヒテルはね~、結構 KiKi が好きなピアニストなんですよね~。  もっとも KiKi 以上に今 KiKi がレッスンしていただいている先生がリヒテルの大ファンなんですよね♪  一般の音楽愛好家よりもピアニストにリヒテル・ファンは多いような気がするんだけど、それは気のせいかしら??  ま、それはさておき、これは贅沢な組合せですよね~。  見るからに無骨な、ハンサムとは程遠い2人の男の心情告白のような雄弁な音楽だと思います。  KiKi の長年のこの曲のお気に入りはフルニエ・ケンプの演奏だったのですが、このロストロ・リヒテルの演奏は彼らの演奏とは異なりちょっと泥臭さ・・・・のようなものがあるのですが、そこが逆に味わい深いなぁと思っています。  

この曲が作曲されたのはベートーヴェン中期、あの有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれたのが1802年、この曲が作曲されたのが1807~08年ですから、より男性的でどことなく怒りを含んだ瞳でじっと前方を見据えて、気迫に満ちているようなこの演奏がとてもマッチしているように感じます。  中期のベートーヴェン作品の特徴は力強く激しい情熱と緊張感だと KiKi は思うんですよね~。  

チェロとピアノが対等に扱われているこの曲、KiKi は昔から大好きなんですよね~。  恐らく古今のチェロ・ソナタの最高傑作候補の一品ではないかと・・・・。  

第1楽章は前触れなくチェロがのびやかで雄大な第一主題を奏でて幕を開きます。  この主題がず~っと表情を変えながら時にチェロが時にピアノが展開部やコーダを紡いでいきます。  第2楽章はピアノによる表情豊かなスケルツォ主題がチェロに弾き継がれ明るいトリオを持つ印象的な音楽です。  そして短くも豊かで優美な序奏に次いで、さらに優雅で快活な第一主題をチェロが歌う第3楽章。  全曲とおして輝かしいまでの明るさと燃えるような情熱にあふれた音楽です。  これがあんな遺書を書いた同じ人の曲とは思えないぐらい・・・・。

と言うことで、「ハイリゲンシュタットの遺書」全文もご紹介♪  結構長いので、根性入れて読んであげてくださいまし~。



わが弟たちカール(とヨハンへ)

おお、お前たちは私が意地悪く、強情で、人嫌いのように思い、そのように広言しているが、何故そんな不当なことをしてくれるのだ。

もしそう見えたとしても、お前たちはその本当の原因を知らぬのだ。

私の心と魂は、子供の頃から優しさと、大きな夢をなしとげる意欲で満たされて生きてきた。

だが6年前から不治の病に冒され、ろくでもない医者たちによって悪化させられきたことに思いを馳せてみて欲しい。

回復するのでは、という希望は毎年打ち砕かれ、この病はついに慢性のもの(もしかして治療するにしても何年もかかるだろうし、だめかもしれない)となってしまった。

情熱に満ちた活発な性格で社交も好きなこの私が、もはや孤立し、孤独に生きなければならないのだ。

すべてを忘れてしまおうとしたこともあったが、聴覚の悪さがもとで倍も悲しいめにあい、現実に引き戻されてどれほど辛い思いをしたか。

もっと大きな声で叫んでください、私はつんぼなのです、などと人々にはとても言えなかった。

他の人に比べてずっと優れていなくてはならぬはずの、以前は完璧で、音楽家の中でも数少ない人にしか恵まれなかったほどの感覚が衰えている、などと人に知らせられようか - おお、私にはできない。

だから、私が昔のように喜んでお前たちと一緒におらず、引きこもる姿を見ても許して欲しい。

こうして自分が誤解される不幸は私を二重に苦しめる。

交友による気晴らし、洗練された会話、意見の交換など、私にはもう許されないのだ。  どうしても避けられない時にだけ人中には出るが、私はまるで島流しにされたかのように生活しなければならない。

人の輪に近づくとどうしようもない恐れ、自分の状態を悟られてしまうのではないか、という心配が私を苛める。 -

賢明な医者が私の気持ちをほぼ察して薦めてくれた「できるだけ聴覚をいたわるように」という言葉に従って、この半年ほどは田舎で暮らしてみた。

人恋しさに耐え切れず、その誘惑に負けたこともあった。  だが、そばに佇む人には遠くの笛の音が聞こえるのに、私には何も聞こえない、人には羊飼いの歌声が聞こえているのに、私にはやはり何も聞こえないとは、何と言う屈辱だろう。

こんな出来事に絶望し、もう一歩で自ら命を絶つところだった。

しかし芸術、これのみが私を思いとどまらせたのだ。

ああ、課された使命、そのすべてを果たしてからでなければ私は死ねそうにない。  だからこそこの悲惨な人生を耐え忍んで生きてきたのだ。

何と惨めなことだろう。  最上だった状態から突然奈落の底に突き落とすという変化をもたらしたこの過敏な身体 - 忍耐、これこそが私のこれからの指針でなければならない、 そう決心したのだ  
 
呵責のない運命の女神が私の生命の糸を断ち切るその日まで、この気持ちを見失わないよう願い続けている。  ひょっとするとよくなるかもしれないがもしもよくならなくても私の覚悟はできている。

28歳にして悟りを開かなくてはならないとは何という苦しみだろう。

芸術家にとってはなおさらだ。  神よ、あなたは私の心中を見通し、わかっておられるはずです。  そこにあるのは人間愛と、善行への欲求だということを

おお、世の人々よ。  いつの日かあなた方がこれを読めば、あなた方がいかに不当なことを私にしてきたのか悟ることでしょう。

自分を不幸だと思っている人は、自分と同じ一人の不幸者が自然のあらゆる障害にも関わらず、価値ある芸術家として、人間として認められようと全力を尽くしたことを知って、そこに慰めを見出すことができるでしょう。

そして、わが弟達、カール(とヨハン)
私が死んだ時にシュミット教授がまだ存命中だったら、死後できるだけ多くの人々が私のことを少なくとも理解し、許してくれるように、私の病気についての記述をしてもらえるよう私の名前で依頼し、この手紙に添えてほしい。 ー
それと同時に私はお前たちを少しばかりの財産(そう呼べるのであれば)の相続人とすることをここに誓おう。

誠実に、そして仲良く分け合い、助け合ってください。
お前たちの仕打ちは知ってのとおりもうとっくに許されているのだから。。

カールよ、最近のお前の好意には特に感謝しているのだ。
お前たちが私よりもっとよい、何の心配も要らない生活を送れるよう祈っている。  子供たちには徳を薦めなさい。  それこそが幸福をもたらすのだ。

金ではない。  自分の経験を振り返っても、私を苦悩から救い上げてくれたのは、私を自殺の危機から守ってくれたのは徳とそして芸術だけなのだ。
 
つつがなく、お互いに慈しみあうように

すべての友人、特にリヒノフスキー侯爵とシュミット教授に感謝を捧げます。
リヒノフスキー侯爵からいただいた楽器はお前たちのうちのいずれかの手許に残されるように願っているが、それを原因として争いを起こさないように。
そして、もっと有効な使いみちが考えられるときには売ってしまいなさい。
墓石の下からでもお前たちの役に立てるのなら本望だ。

これでおしまいです。  私は喜んで死と対峙しよう。
だが、ただでさえも厳しい運命に加え、死が私の芸術が熟し切る前に訪れぬように、今しばらく時間を与えたまえ。

いや、それまで待ってくれなくとも、私は満足だ。  果たして死は私を苛め続ける苦悩から解放してくれるのだろうか?  いつでも来るがよい。
私はお前を勇気をもって迎えるだろう。

さようなら。  私が死んでも忘れないでおくれ。  私はお前たちの幸せだけを願い続けてきたのだから。。。  幸せに

                         L. V. Beethoven  1802年10月6日
                         ハイリゲンシュタットにて




ハイリゲンシュタット 1802年10月10日

さあ、これでお前とお別れだ。 - 悲しい別れ -

あのささやかな希望 - ここに来れば少しは病状がよくなるだろうかという -
  その望みは、秋に木の葉が舞い落ち、枯れていくかのごとく失われてしまった。

私の持っていた希望は、全てなくなってしまった。  私は去る。
  あの勇気 - 美しい夏の日々には私に生気を与えてくれた高貴な勇気さえももはや消滅した

おお神よ、喜びに満ちた日を一日だけでも与えたまえ。
  すでに長い時間、心の奥底から湧き上がる真の喜びとは無縁になってしまっているのです。

おお、いつの日に、  おお、いつなのですか?
  おお、神よ、  自然と人間の殿堂の中で喜びの日を享受できるのは。
  もう二度と?  嘘だ  おお、それはあまりにも残酷です。


我が弟たち カール(とヨハンへ)

私の死後、これを読んで実行するように。。。


追記:
このエントリーは2006年7月9日、miwaplan さんのブログの関連記事に TB させていただきました。


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